夕闇にうなじが浮かぶ



夕闇にうなじが浮かぶ
まるで紅花、血を見るような怯えた目
轟いて新星
たった一つのバースデイ
崩れた化粧にすがる
燃える朝顔、枯れる夕顔
三角の雨が突き刺したのは丸い月だった
檸檬がなんだというの
破壊色素
不機嫌なとぐろ
暗闇のなかに雲が不時着
赤い標識、スカーフ
もう終わった世界
背中は正直
閉じこめたプラネタリウム
冬にうなされたホテル
時が笑うんだって
死に損ないの蝉
行き場のないノック
すぐに他人の花を折りたがる
黒い森が燃えた
ラストダンスは白夜の中で
寝静まった午前4時
シャーベットが降り注ぐ夜、グラスの影
二酸化炭素のあわ
転がるメルヘン女子
こぼれる小宇宙にて
上気した頬を拒絶
君の前で僕は息ができない
これにて天国終幕
アルコールで溺れた水死体
百合の花を飲んだ
握りしめた手が白くなる前に
淀んだ川に投げたのは青い春
楯の覚悟
ハングリー精神の兵士達
窓を開ける音、ベーコンエッグ
うたたねは現実を隠すことも出来ない
羊飼いの亡霊
生誕百周年のラジオ
錆びた望遠鏡
宇宙船で二人っきり
僕が君に戻る時間
羽虫が灯りの下で回っている
そのノックが人生の境

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蝋梅

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